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年間2億人が苦しむマラリアを世界からなくしたい。
ドローン×AIで根絶を目指す。

SORA Technology株式会社
Sierra_Leone
シエラレオネ
Ghana
ガーナ
Senegal
セネガル
Benin
ベナン
Malawi
マラウイ
2023.11.17
KV_SORA

アフリカで猛威を振るうマラリア。感染すると潜伏期間を経て、発熱や嘔吐、筋肉痛などの症状が現れ、適切な治療をしなければ死に至ることもあります。SORA TechnologyはドローンとAIを使ったこれまでにない手法で、マラリアのない世界を目指しています。

ISSUE背景と課題

年間約2億人が感染するマラリア。マラリア対策には年間50億ドルが拠出されています。マラリア被害が特に深刻なアフリカ各国の人的・経済的な損失は甚大で対策が急がれます。1番の対策は蚊帳などを用いて「蚊にいかに刺されないようにするか」ですが、近年、蚊の生態に変化が起こり、アフリカでも屋外で人を刺すタイプの蚊が現れ始めています。求められているのは屋外で行うマラリア対策であり、蚊の幼虫=ボウフラが成虫になる前に駆除を行うことです。

そして、地球温暖化による影響でマラリアを媒介する蚊の生息域が拡大していることも見過ごせません。マラリアは発展途上国だけの問題ではなく、私たちの身近な問題になっています。

INNOVATION課題解決

マラリア対策の一つに「Larval Source Management(LSM)」という方法があります。これは、幼虫=ボウフラが水たまりにいる段階で殺虫剤を散布して駆除する方法です。

SORA Technology(ソラテクノロジー)はドローンとAI(人工知能)を組み合わせて、このLSMを効率的に行うことで、マラリアの撲滅を目指しています。

シエラレオネで行った実証実験の際に現地の学生などと撮った集合写真(撮影:2023年)
シエラレオネで行った実証実験の際に現地の学生などと撮った集合写真(撮影:2023年)

そもそも世界には3,500種類以上の蚊が生息すると言われており、そのうち人の血を吸うのはひと握りです。蚊が媒介する感染症の代表例が、ジカ熱、デング熱、そしてマラリアです。マラリアを媒介する蚊はメスのハマダラカ種に限られ、ハマダラカに刺されることで感染が広がっていきます。

蚊は、種類によって好む水域(水たまりなど)はバラバラであるという特徴があります。ソラテクノロジーは、ドローンを飛ばして路上などにある水たまりを検知し、水深や水温などからマラリアを媒介する蚊(=ハマダラカ)が好む水たまりをAIによって抽出します。抽出された水たまりだけを対象に殺虫剤を散布してボウフラ段階で駆除します。

シエラレオネで行った実証実験で固定翼型ドローンの説明をする(撮影:2023年)
シエラレオネで行った実証実験で固定翼型ドローンの説明をする(撮影:2023年)

LSMはWHOが高い有効性を認めているマラリア駆除のための手段の1つですが、これまでは人海戦術であらゆる水たまりに分け隔てなく殺虫剤を散布してきました。多くの人手が必要であり、多くの殺虫剤を散布しなくてはなりませんでした。ソラテクノロジーのLSMを実施することで、従来の方法と比べて殺虫剤の散布量がおよそ70%減少し、散布にかかる人件費はおよそ半分になることが見込めます。これにより環境への負荷が減り、高効率化が実現します。

ガーナで行った実証実験で水たまの水温などを測定(撮影:2023年11月)
ガーナで行った実証実験で水たまの水温などを測定(撮影:2023年11月)

現在は、経済産業省やJICA(国際協力機構)の協力を得ながら、シエラレオネをはじめとした西アフリカの地域でソラテクノロジーのLSMの実装に向けた取り組みを進めています。各国の政府機関との協議と並行して、現地体制の構築を進め、近い将来の実装化に向けて取り組んでいます。

FUTURE未来

国連は2030年までにマラリアを撲滅することを目標に掲げています。ソラテクノロジーもそれに賛同し、LSMの手法を駆使することで、国連が掲げる目標に寄与していきます。また、近い将来、アフリカに拠点を設けて横断的にマラリア撲滅のための取り組みを進めていく予定です。

MESSAGE担当者の声

ソラテクノロジーは、ドローンとAIを活用して2030年マラリア撲滅目標への貢献を目指しています。COVID-19を契機に感染症対策がより身近になった今、ドローンやAIなど、ある意味「異分野」のスペシャリストも兼ね備えたチームだからこそ創出できるイノベーションを日々模索しています。一方で、新しいソリューションには、現地政府の理解獲得や省庁間の調整などの難しさもあるのも事実です。日本政府や国内外の民間企業とも連携して壁を乗り越えながら、日本と新興国・途上国が、感染症に強い社会を共創していけるエコシステムの一端を担っていきたいと思っています。
梅田 昌季(Masaki Umeda)

グローバルヘルス・アカデミー第1回での紹介(40:55〜)

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