アフリカでは、人口の60%以上が、医療や保健などのヘルスケアサービスへのアクセスが難しい遠隔地に住んでいるといわれています。
日常の交通手段は、「徒歩」や不定期の「乗り合いバス」、輸送手段は「ロバ」や「運搬用一輪車」であり、コミュニティの自動車保有者を頼ることも少なくありません。そのため、乳幼児のワクチン未接種、病気の際に適切な治療を受けられない、妊婦検診の未受診や分娩非介助など、ヘルスケアサービスへのアクセスの難しさに起因する問題が顕在化しており、これらの解決が社会課題となっています。
アフリカの都市部から離れた遠隔地は、未舗装路や移動が難しい場所も多いため、走破性の高い二輪車が移動・輸送手段として人々の助けとなっています。保健・衛生に関わるスタッフや医療従事者が最小単位で移動するのにも適しており、ヘルスケアサービスに関わる社会課題の解決にも貢献しています。
二輪車を継続的に安心して使用するためには、製品の品質だけでなく、適切なアフターサービスが受けられること、補修部品がしっかり供給されることなども重要になります。
現在、ヤマハ発動機は180を超える国と地域でビジネスを展開。過去数十年にわたり、世界各国で販売網を構築するとともに、アフターサービス網の構築や補修部品の供給体制の強化にも注力してきました。
アフリカで活動する「Riders for Health」は、ヘルスケアサービスに関わる社会課題の解決を目的として、現地の医療スタッフに二輪車を提供することで「移動診療(Outreach Clinic)」をサポートするNGO団体です。二輪車の提供だけでなく、車両のメンテナンスや乗り方講習も行っています。
ヤマハ発動機は長年にわたり「Riders for Health」と取り組みを行っており、製品の供給やアフターサービスのトレーニングを行ってきました。もともと本社の営業部門が取引を行ってきましたが、2022年には欧州販売会社「Yamaha Motor Europe」と「Riders for Health」が長期的パートナーシップを締結しました。「移動診療(Outreach Clinic)」の有用性の社会的な認知拡大や、老朽化した二輪車の買替資金の調達にも取り組んでいます。
移動・輸送を担う二輪車の利用を取り巻く環境が完璧になることはありません。「市場に適した製品の開発と供給」はもちろん、各国の現地パートナーとともに「販売・アフターサービス・部品供給のネットワーク構築」「メカニックの育成」「製品の正しい使い方や乗り方の指導」など、環境の改善を進めようとしています。
ヘルスケアサービスに関わる社会課題の解決に貢献する「移動診療(Outreach Clinic)」についても取り組みを継続し、広く社会にも伝えていきます。モビリティを取り扱う企業として、移動・輸送に関わる社会課題の解決に貢献できるよう、今後も取組みを続けていきます。
ヤマハ発動機は企業目的として「感動創造企業」を掲げています。海外市場開拓事業部は主に新興国・途上国を担当しており、「世界の人々に豊かさと喜びを ~Challenge & Dedication for Prosperity~」をミッションに掲げ、活動を続けています。
マーケティング活動において「担当市場の社会課題解決」は重要な切り口です。今回改めてヘルスセクターにおける交通課題解決(ラストワンマイル)に挑戦する社会的意義を再認識しました。
モビリティによるソリューション提案を通じ、より多くの場所(人)へサービスを届けることができるよう、活動していきます。